片岡さん裁判について思う ~ちょっとヘンだぞ⁉ 相手側代理人~
かねてからぼくが支援しているフリージャーナリスト、片岡亮さんの裁判が10月21日に結審し、2016年1月27日に判決が言い渡される。本来なら、片岡さんに対する裁判の判決を見届けた時点で総括を述べるべきだと思っていたが、相手側の弁護士の理不尽と感じられる言動をここに記しておきたい。
愕然! 有名弁護士の挑発尋問
その前に改めて、どのような裁判だったのか、簡単に説明しよう。13年9月3日、香川県高松市で行われたボクシングの世界タイトルマッチが事の発端だった。亀田三兄弟の次男、大毅選手とメキシコ人選手との王座決定戦で、その舞台裏での異様な光景が一部スポーツ紙で明かされ、その後、片岡さんがブログで書いた。これについて亀田氏側は片岡さんを名誉棄損で提訴したのである。
去る8月5日、片岡さんが証人尋問に立った裁判を傍聴したが、驚くべきものだった。原告、つまり亀田氏側の代理人は、テレビ番組「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)などでお馴染みの北村晴男弁護士だ。裁判では、北村弁護士と同じ事務所の片岡麻衣弁護士が出廷し、挑発的な質問、オーバーアクションを繰り返していた。個人的な感想を言えば、ドラマ「リーガルハイ」を見せられている感じだった。実際に、こんな尋問をする弁護士がいるんだと、愕然とした。
北村弁護士らの尋問はもちろんルール違反ではない。しかし、あまりに過剰な挑発行為は、裁判の在り方を問われるのではないかと、疑問を感じた。一方、片岡さんはその挑発に乗ることはなく、努めて冷静に答えていた。支援しているからとかではなく、ここは裁判所の冷静な判断を期待したい。
JBC職員敗訴で北村弁護士は……
この裁判に関連して、日本のプロボクシングを統轄する機関、「日本ボクシングコミッション(以下、JBC)」の職員が14年2月、亀田氏側に対し監禁、暴行などによる精神的苦痛を受けたとして、興毅氏、大毅氏、ほかスタッフ2人に対し、1000万円の損害賠償請求を行なった。片岡さんの記事が事実無根なら、JBC職員が受けた事実が無いものとされてしまうといった危機感もあっただろう。対する亀田氏側は同年4月、JBC職員に反訴した。片岡さんの裁判に先立ち、このJBC職員の裁判は9月30日、判決が言い渡された。倉地真寿美裁判長は「強要、監禁、どうかつ及び暴行というべき違法行為に及んだとの事実は認められない」としてJBC職員の訴えを退け、亀田氏側が求めた慰謝料のうち320万円を認める判決を下した。JBC職員の全面敗訴という結果だった。
この判決を受け北村弁護士は、会見を開いた。会見では、「虚偽の事実を公表して、2人のプロボクサーを社会的に抹殺しようとする行為は、到底許されない」「亀田選手らは、今回の事件で、莫大な経済的損害を被っている」と語ったという。
被告側代理人は“抗議文”で応戦
これに驚いたのが、JBC職員側の代理人だ。裁判で敗訴したものの、飛躍し過ぎた会見内容だとして佐藤栄治弁護士、村田純一弁護士は連名で「ご連絡」と題した“抗議文”を10月15日、北村弁護士側に送付。それによると、<判決の内容を曲解し、社会に誤解を与える「到底許されない」行為であると言わざるを得ません。>と断じている。
どういうことか。<判決文には、JBC職員が、「2人のプロボクサーを社会的に抹殺しよう」としたかのような記載は一切見られず、判決がそうした認定をしたかのような発言をし、マスコミ関係者がそのように誤解して報道するに至ったというのであれば、これによって、JBC職員の名誉を毀損するおそれさえもある>(個人名をJBC職員と変えて表記)というのだ。
また、<判決では、証拠上、JBC職員が主張する「違法な行為」は認定できないと判断されているのみ>で、「虚偽の事実」と認定されたものではないとしている。
判決文では、「原告が本件紛争の際の被告らの行為が客観的に見て強要、監禁や恫喝、暴行に当たらないことを認識していた、あるいは通常人であれば容易に認識できたとまでは認められないというべきである」と、記されている。つまり、当時の状況下において、「あれは強要や監禁、恫喝、暴行ではないと簡単に判断できない」とも言い換えられ、<貴職(北村弁護士のことを指す)が発言したとされる「虚偽の事実」という認定とは真逆ともいえる>と、結論づけている。そのうえで、<判決の内容と著しく乖離している>と記している。
これに対し10月22日、北村弁護士は「ご回答」と題した反論文を提出。佐藤弁護士らの主張が正しければ、<判決においては「『違法な行為』があったと認めるに足りる証拠はない」と判示されるのが通常ですが、本判決においてはそのような判示はなされていません。>と、真っ向否定し、<貴職らのご主張は、明らかに事実とは異なるものです。>と述べている。加えて、佐藤弁護士らが指摘した判決文「(強要等に当たらないと認識していた等とは)認められないというべきである」という箇所については<当職としては上記判示は不当であると考えております>と記し、<「虚偽」の事実を公表したJBC職員の行為は、明らかに興毅氏お飛び知毅氏を社会的に抹殺するものと評価される行為>だと主張した。
10月14日、JBC職員が控訴し“第2ラウンド”へ
弁護士は、依頼人の利益を勝ち得るためにあらゆる手段を講じるものだと認識している。だから、北村弁護士のパフォーマンスは理解できなくはない。しかし、勝訴の判決を受けたからといって、判決の内容を独自に解釈し、一般人であるJBC職員を「2人のプロボクサーを社会的に抹殺しようとした」とまで評し、ことさら追い詰めるようなやり方が妥当なのかどうか。私には甚だ疑問で、怒りすら禁じ得ない。
10月14日、JBC職員側は控訴。この裁判は“第2ラウンド”へ突入した。今後もしっかりと冷静にその行方を見守っていきたい。
愕然! 有名弁護士の挑発尋問
その前に改めて、どのような裁判だったのか、簡単に説明しよう。13年9月3日、香川県高松市で行われたボクシングの世界タイトルマッチが事の発端だった。亀田三兄弟の次男、大毅選手とメキシコ人選手との王座決定戦で、その舞台裏での異様な光景が一部スポーツ紙で明かされ、その後、片岡さんがブログで書いた。これについて亀田氏側は片岡さんを名誉棄損で提訴したのである。
去る8月5日、片岡さんが証人尋問に立った裁判を傍聴したが、驚くべきものだった。原告、つまり亀田氏側の代理人は、テレビ番組「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)などでお馴染みの北村晴男弁護士だ。裁判では、北村弁護士と同じ事務所の片岡麻衣弁護士が出廷し、挑発的な質問、オーバーアクションを繰り返していた。個人的な感想を言えば、ドラマ「リーガルハイ」を見せられている感じだった。実際に、こんな尋問をする弁護士がいるんだと、愕然とした。
北村弁護士らの尋問はもちろんルール違反ではない。しかし、あまりに過剰な挑発行為は、裁判の在り方を問われるのではないかと、疑問を感じた。一方、片岡さんはその挑発に乗ることはなく、努めて冷静に答えていた。支援しているからとかではなく、ここは裁判所の冷静な判断を期待したい。
JBC職員敗訴で北村弁護士は……
この裁判に関連して、日本のプロボクシングを統轄する機関、「日本ボクシングコミッション(以下、JBC)」の職員が14年2月、亀田氏側に対し監禁、暴行などによる精神的苦痛を受けたとして、興毅氏、大毅氏、ほかスタッフ2人に対し、1000万円の損害賠償請求を行なった。片岡さんの記事が事実無根なら、JBC職員が受けた事実が無いものとされてしまうといった危機感もあっただろう。対する亀田氏側は同年4月、JBC職員に反訴した。片岡さんの裁判に先立ち、このJBC職員の裁判は9月30日、判決が言い渡された。倉地真寿美裁判長は「強要、監禁、どうかつ及び暴行というべき違法行為に及んだとの事実は認められない」としてJBC職員の訴えを退け、亀田氏側が求めた慰謝料のうち320万円を認める判決を下した。JBC職員の全面敗訴という結果だった。
この判決を受け北村弁護士は、会見を開いた。会見では、「虚偽の事実を公表して、2人のプロボクサーを社会的に抹殺しようとする行為は、到底許されない」「亀田選手らは、今回の事件で、莫大な経済的損害を被っている」と語ったという。
被告側代理人は“抗議文”で応戦
これに驚いたのが、JBC職員側の代理人だ。裁判で敗訴したものの、飛躍し過ぎた会見内容だとして佐藤栄治弁護士、村田純一弁護士は連名で「ご連絡」と題した“抗議文”を10月15日、北村弁護士側に送付。それによると、<判決の内容を曲解し、社会に誤解を与える「到底許されない」行為であると言わざるを得ません。>と断じている。
どういうことか。<判決文には、JBC職員が、「2人のプロボクサーを社会的に抹殺しよう」としたかのような記載は一切見られず、判決がそうした認定をしたかのような発言をし、マスコミ関係者がそのように誤解して報道するに至ったというのであれば、これによって、JBC職員の名誉を毀損するおそれさえもある>(個人名をJBC職員と変えて表記)というのだ。
また、<判決では、証拠上、JBC職員が主張する「違法な行為」は認定できないと判断されているのみ>で、「虚偽の事実」と認定されたものではないとしている。
判決文では、「原告が本件紛争の際の被告らの行為が客観的に見て強要、監禁や恫喝、暴行に当たらないことを認識していた、あるいは通常人であれば容易に認識できたとまでは認められないというべきである」と、記されている。つまり、当時の状況下において、「あれは強要や監禁、恫喝、暴行ではないと簡単に判断できない」とも言い換えられ、<貴職(北村弁護士のことを指す)が発言したとされる「虚偽の事実」という認定とは真逆ともいえる>と、結論づけている。そのうえで、<判決の内容と著しく乖離している>と記している。
これに対し10月22日、北村弁護士は「ご回答」と題した反論文を提出。佐藤弁護士らの主張が正しければ、<判決においては「『違法な行為』があったと認めるに足りる証拠はない」と判示されるのが通常ですが、本判決においてはそのような判示はなされていません。>と、真っ向否定し、<貴職らのご主張は、明らかに事実とは異なるものです。>と述べている。加えて、佐藤弁護士らが指摘した判決文「(強要等に当たらないと認識していた等とは)認められないというべきである」という箇所については<当職としては上記判示は不当であると考えております>と記し、<「虚偽」の事実を公表したJBC職員の行為は、明らかに興毅氏お飛び知毅氏を社会的に抹殺するものと評価される行為>だと主張した。
10月14日、JBC職員が控訴し“第2ラウンド”へ
弁護士は、依頼人の利益を勝ち得るためにあらゆる手段を講じるものだと認識している。だから、北村弁護士のパフォーマンスは理解できなくはない。しかし、勝訴の判決を受けたからといって、判決の内容を独自に解釈し、一般人であるJBC職員を「2人のプロボクサーを社会的に抹殺しようとした」とまで評し、ことさら追い詰めるようなやり方が妥当なのかどうか。私には甚だ疑問で、怒りすら禁じ得ない。
10月14日、JBC職員側は控訴。この裁判は“第2ラウンド”へ突入した。今後もしっかりと冷静にその行方を見守っていきたい。
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