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『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』

 久しぶりにすごいノンフィクションを堪能した。第43回大宅賞(2012年)を受賞した『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(増田俊也著、新潮社)を読了しての感想だ。

 昭和12年から全日本柔道選手権を13年連続で保持、「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」「鬼の木村」と讃えられた木村政彦の生涯を描いた評伝。筆者は18年の歳月をかけ膨大な資料を集め、全国各地の関係者を丹念に取材をし続け、その思いのたけを筆に込めたもので、文庫本上下巻合わせて1179ページの大作だ。

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 ぼくらの父親世代、街頭テレビにくぎ付けになった世代は、木村政彦の名前は知っているのだろう。長年にわたる無敗記録などだけでも十分分かる。しかし、あの力道山に負け、生涯、「力道山に負けた男」の“汚名”を背負いながら生き続けたのだという。

 中身には賛否両論があると思う。あまりにも、木村政彦の汚名を返上しようという筆者の思いが強く、そのことに反発を感じる人もいると思うからだ。しかし、文章全体に漲る力は、間違いなく18年間にわたって取材を通じて溜めてきた関係者および筆者の情念がある。その思いは「言霊」となって読む者に伝播していく。

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 筆者自身が誰からどんな言葉を聞いたのか、シチュエーションも含めて詳細に書いたりしている。木村政彦の評伝であるとともに、筆者の取材の旅路をも記録した作品で、その時その時の筆者の「心の揺れ」も正直に伝えたものとなっている。改めて、文章って、書く人の思いや人生が反映されるものなんだなぁ、と感じる。

 しかし、ぼくははっきり言えば、ここで書かれている表現手法は好きではない。書き手が表面で出ることは常に避けてきた。とくに、新聞出身者ならお分かりいただけるだろう。書き手は黒子であるべきだというのが、ぼくが30年間やってきた仕事だからだ。でも、この作品に限って言えば、そんな手法云々を凌駕して余りある強烈な「言霊」が覆っている。

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 執念、怨念、情念、疑念、信念、専念、祈念・・・。さまざまな「念」が交錯し、読み進むごとに、夜の闇をホタルが飛び交い、その光が交差する光景を見るような気分にとらわれる。

 ここ5年ほど、エンタテイメント小説ばかりを読んできたが、改めてずっしりしたノンフィクションを読み漁りたくなった。


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プロフィール

Atsutoshi Yamada

Author:Atsutoshi Yamada
山田厚俊(やまだ・あつとし)
1961(昭和36)年栃木県生まれ。
週刊誌やビジネス誌、サブカル誌などで活動中。詳しくは右のリンクへ(プロフィール詳細)。

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